地球の大きさを測る

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エラトステネス

地球が丸いことは現代人ならみな知っている。また、地球が丸いことがかなり昔から知られていたということもまた知られている。エラトステネス(紀元前275 - 194年)が地球の大きさを測った方法についてはインターネット上でも多く紹介されている。求められた地球の半径の誤差は約10%だったと言われている。
 その方法は緯度の違う2地点の距離と、それぞれの地点での南中時の太陽の高さ(角度)を測り、それらを元に地球の半径を推測するというものだった。(図はhttp://wwwsoc.nii.ac.jp/icic/08_MUSEUM/03_HISTRY_ROOM/ERASTO/ERA.htmlから借用)

コロンブスのアメリカ大陸発見

  また、地球の大きさについての話としては、大航海の時代、コロンブスが地球の大きさを実際よりも小さく考えたため、インドや日本に行くための航路として東まわりではなく、西周りでいけば早く到達できると考えて大西洋を西に航海し、その結果アメリカ大陸を発見したという話も有名だ。コロンブスは発見したアメリカ大陸をインドだと考え続けた。それは彼が地球の大きさを実際の半分程度に考えていたからだというわけだ。ただ、私は、彼の航海の理由を「地球の大きさを実際よりも小さく考えたため」ではなく、「インドや日本などの国がヨーロッパからどの程度東に位置していたかについての知識が正確ではなかったため」ではないかと考えている。

 その根拠の一つは、地球の大きさについて紀元前に誤差10%の正確さでわかっていたのに、いくら科学的知識が後退した暗黒時代といわれる中世を抜け出たばかりの15世紀のヨーロッパとはいえ、地球の大きさについての知識が実際の1/2という不正確さまで後退したというのは信じがたいということ。そしてもうひとつは緯度の違いは太陽や星の高さで容易に計測できるが、東西方向のずれ、すなわち経度の違いは測量が難しいかったということである。実際コロンブスがインドと日本の経度の違いについて実際に近い知識を持っていれば、インドにたどり着こうとするよりも、航路を少し北にとり、まず日本を目指したはずである。つまり、コロンブスが西周りでインドへの航路を見つけようと船出した理由は、地球の大きさについての不確かな知識が原因ではなく、インドや日本がヨーロッパから実際よりずっと東にある(さらにインドと日本の経度の差があまりない)と信じていたからではないかと推測されるのだ。

地球の大きさを測る方法

 地球の大きさを測る方法としてエラトステネスの使った方法は有名で、基本的に同じ方法で、伊能忠敬も緯度1度の距離を測ったとされている。しかし私はどうも腑に落ちない。もっと簡単な方法があるではないかという気持ちを持っていた。以下、その方法を説明しよう。  この方法は地球が球体であるという前提は使用するが、太陽や星の高度の測定は利用しない。代わりに水面を利用する。直接的に球面の大きさを測ろうとするものだ。  地球は表面が球面であるからまっすぐある方向に進んでいけば地表面は少しずつ地面の下方向に湾曲していく。地球を理想的な球体と考えた場合、いったい何メートル・何キロ進めば、何ミリ・何センチ湾曲しているかを考えてみよう。

 地球の半径は約6400キロである(1メートルは極から赤道までの子午線の長さの1万分の1として定められた単位である)。1キロ進んでさらに1キロ進んだとき中央の地点ははたしてどれだけ盛り上がっているかを考えた図が右である。地球の中心からそれぞれの点へ伸ばした直線(6400キロ)が作る角度(実際は大変小さいが図では拡大してある)をaとすると、地面で1キロ先の盛り上がりを見上げる角度はその半分となる。(ACOが二等辺三角形をなし、ABとCOが直角に交わることの帰結である。)そのため、高さhは次の式で求められる。

h=1000 X 100 X 1/6400 X 1/2
(1km=1000メートル=1000 X 100 cm)
最後の1/2は、角度が大変小さい場合、角度が1/2であればsin(サイン)の値も1/2となるからである。(3平方の定理を使った計算もある。ルートの計算がめんどうだが、電卓があれば簡単だ。)
計算すると7.81センチ約8センチとなる。この値は進む距離の2乗に比例するので、進む距離を2倍にし、2km+2km進んだ場合高さは4倍の約32センチとなる。

地球の大きさを測る古代人の立場で考えると、hを測定すれば、地球の半径rがわかることになる。

水面を利用する

地球の形を実際に得るためには水面を利用する。繋がっている水面は地球の重力に引っ張られて球面(等ポテンシャル面という)を作るからである。上の例で4kmというと、空港の一番長い滑走路の長さに相当する。具体的にはそれぐらいの長い平坦な土地に浅い溝を掘り、水を入れる。そして2km間隔でACBの地点で水面から一定の高さのところに印をつける。それぞれ同じくA、C、Bとすると、AからBを見たときにCがどれだけ上方にずれているかを測定するわけである。

測定は夕方か夜、暗い中におこなうのがよいだろう。なるべく小さい点となるような明かりをBにおき、Cには異なる高さにいくつか穴(またはスリット)を開けた板をおき、どの穴を光が通るかで高さを測るのである。溝を掘る作業だけが面倒だが、ある程度平面が続くような場所が見つかれば小学生にでもできる実験である。

 もう少し距離が欲しいなら湖などを利用する方法も考えられる。人口の溝を利用する場合と異なり、入り込む川の影響などによって湖面の高さに誤差が出る可能性もあるが、距離が長くなれば球面による高さも2乗で増えるので測定もしやすくなる。たとえば、図のように猪苗代湖であれば、5kmと5kmくらいの直線を利用できるであろう。この場合高さ2mとなるはずであるが、3地点で連携を取り合い、中央の地点の高さを測るということは近代以前の技術でも十分可能と思われる。 エラトステネスの方法が約900キロも離れた2地点(アレクサンドリアとシエネ)を行き来する必要があるのに比べると簡便だとは思われないだろうか。またこの方法は東西南北方角は問わない。中学校あたりの理科の実験として手ごろだと思うのだが。

残念ながら、このような方法を取って地球の大きさを測るようなことが歴史的に行われたということは聞いたことがない。しかし、都市を作るような文明では溝を作り水を引くというような仕事は普通に行われてきた。ローマ例にひくまでもなく、遠いところから水を引くような工事は世界のいたるところで行われ、技術者はその中で「水面が平らではない」ことに気づき、またそれがどの程度のものであり、その結果、地球の大きさを正しく計算していたはずだと考える。みなさんはどう思われるだろうか。 える。