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判例集

Fさんとの交渉で示された判例集のコピーが右図である。
この規定で基本的に奇妙なのが80:20という過失の基本割合の設定である。(それぞれの用語に関しては過失相殺の認定基準を参照。またこの状況図が示す状況と今回の事故の状況とは三叉路と四つ角の違いや優先道路とわき道の違いなどもあるがその点は追求しない。)

右折車が、直進車の進行をさまたげたのが基本的な原因であるからBに責任があるのは当然だとして、20の根拠は何なのだろうか。どうも次のリンク
過失割合解説サイト 損害保険会社が基準としている自動車事故の過失割合を知りたい人必見
に何度も出てくる。

4.しかし、直進車優先とはいえ、直進車もある程度は右折車に注意してできる限り安全な速度と方法で進行しなければならない義務があり
  (道路交通法36条4項)、
具体的な事故でも直進車に前方不注視やハンドル・ブレーキ操作の不適切等何らかの過失が肯定されることが多い。


を根拠として設定されているようだ。

この中で、「具体的な事故でも直進車に前方不注視やハンドル・ブレーキ操作の不適切等何らかの過失が肯定されることが多い」とあるが、これは実情に合う記述だろうか。右折によって直進を妨げられた場合ほとんどの車は回避行動をとるだろう。それでもぶつかって事故になるのである。「多い」とあるので、少なくとも、過失が肯定されないこともあるという認識だろう。それなら、「不適切等何らかの過失が肯定されること」が実際あったのかなかったのかの判定が必要のはずだが、どこにもそのような項目がない。20をスタートとするのなら、「回避のためブレーキを踏むあるいはハンドル操作で回避操作をやった」、あるいはそもそも「回避は不可能であった」とかの項目があり、該当すればAの割合が減るようになっていなければ理屈に合わない。つまりAの行動について数値がマイナスになる項目がないと理屈に合わない。これでは、直進車は「回避行動はとれたはず。そして回避行動をとらなかった」と決め付けているようなものだ。この表に忠実に従うと、Aの過失割合を減らすためにはAの過失とは直接のかかわりのないBの側の過失を増やすしかなくなる。それに該当するからといって性質上、Aの過失の程度が減るというものではないのに。全く理屈に合っていない。

「直近右折」という項目もちょっとおかしい。直進車との距離を十分に保って右折したのにぶつかるということはない。そういう意味では、衝突する場合すべて「直近右折」ではないか。(余裕を持って右折したはずが、直進車が(恐らく悪意を持って)いきなりスピードをあげてその余裕をなくすほどに追いついてぶつけるということは可能かもしれない。)したがって「直近右折」はその余裕が極端に少ないケースと解釈せざるを得ないがどこで線を引くのか妥当な基準がはたしてあるのだろうか。この直近右折が適用されても10%の過失が被害者の直進車に残ってしまうことになる。(この判例を使った裁判官はどのような運転技術をドライバーに要求しているのだろうか。)

毎日車を運転をしている者であれば、右折車の横を通りすぎる時、こちらがいくら注意しても「今、曲がってこられたら避けられない」タイミングの幅を感じることができるはずだ。「どんなタイミングで曲がってこられても私は避けることができる」あるいは「そういう運転をしている」という人はいないはずだ。直進の時は右折車を信頼してまっすぐ進むしかないのが現実だ。

仮に、「直進優先といってもあくまで8:2の優先であって、ぶつかればあなたに相手の1/4の責任がでるのですよ」と言われ、ドライバー全員が右折車の横を通り過ぎるのに慎重になりスピードを落として運転するようになったとしよう。しかし、いくらスピードを落としたとしても右折車がタイミング良く(いや悪く)曲がってきたら避けることはできない。それは、直進車のスピードの問題ではなく、基本的にレーンの幅で決まる問題だからだ。レーンの幅が10メートルもあれば、直進車も注意すれば、いきなり曲がってきた右折車を避ける余裕があるかもしれない。しかし、現実は直進車とセンターラインや右折車との間には1メートル前後の幅しかないのであって。タイミングよく(悪く)曲がってくる右折車を避けることはできない。特に、右折車が横着に前輪や車体をななめに向けている場合は余裕はさらになくなる。いくら過失が1/4となっていても「直進が優先」となっていれば右折車にいちいち道を譲ることはできないから、直進するしかない。直進して衝突したら、有無をいわせず、「あなたも注意しなかったから悪い」というのは不当ないいがかりである。

直進と右折の衝突においては、右折車は注意すれば事故を完全に回避できる。しかし、直進車は(直進しようとする限り)いくら注意しても右折車のタイミングが悪ければ衝突を避けることはできない。主導権は完全に右折車が握っているのであり、だからこそ右折車はそれを十分に自覚し、直進車の進行をさまたげぬよう、余裕を持って曲がる義務があるわけだ。直進車は、そのような右折車を信頼するしかない弱い立場であることがこの判例の規定では理解されていない。

車を運転しない弁護士は多いと聞く。このような理屈に合わない基準の判決を出したり、それを認める弁護士や裁判官は車を運転したことがないのではと疑われても仕方がない。。このような判例を出した裁判官が日頃車を運転していたのか、冗談ではなく本気で調べる必要があると私は思う。

このように直進車に不当な過失を押し付ける基準が無理やりにでも通ってしまえば、被害者だけでなく、加害者側も相手の被害者側から保険で割り当てられた過失の不足分を保険外から要求されるなどの2次的なトラブルもひきおこすだろう。保険会社はいわばやったりやられたりであるからこのような基準を頼りにして「スピーディー」に処理でき、代車もすぐに出さずにいいのだろうが契約者はたまったものではない。また、保険の事故担当者としても、このような、おかしな基準にあてはめて事故原因の実態とかけはなれた結果をだすというのは不本意ではないのか。個々の事故の事情に応じて結果を出すということでなければ仕事のやりがいも見出せないだろう。

その後の展開

先ほど述べたある調停機関でおこなった調停の内容はインターネット等で公開しないという条項が利用規則にあり、ここで残念ながらそれについて詳しく述べられない。ただ、この機関や別の無料の相談窓口で相談した弁護士と話をした結果、弁護士も判例集に頼りっきりでEさんやFさんと基本的には同じスタンスであることがわかった。

調停機関のあっせんは途中で利用を取り下げたが、これらのプロセスの結果、「直近右折」と「早周り」の該当をFさんが認め、過失割合も95:5まで認めた。しかし、私はもちろんこれで妥協するつもりはない。20%でも5%でも私に過失があるというのならそれが何かを明らかにすることをあくまで要求するつもりだ。

また、これらの展開の結果としてBさんが「A(私)の車が通る前ではなく、通りすぎたあとに右折しようとした」と述べたこともわかった。実は「A(私)の車が通る前に右折しようとしていたのか、それともその後に右折しようとしていたのか」という質問をBさんより先にFさんにぶつけようと思っていたのだがその答えはわからなくなってしまった。通常の、直進車と右折車の衝突事故と単純に比較できないと言うこともいえます。Fさん、いかがですか。調べて承知されていたのでしょうか。調停なり斡旋なりをなんらかの機関に依頼しようと思っている人は相談や面会の手順なども事前に調べておいたほうがよいと思います。

日本興亜さんに対する質問

以下の質問および要望にはっきりと答えていただきたい。

1 一般論として、相手に過失があると主張するときにその過失の中身を具体的に指摘する義務はあると考えられるか、それともないと考えられるか。

2 1の答えが「ある」であれば、80:20、90:10、95:5いずれを主張されるにせよ、私に過失があるという、その中身を具体的に指摘していただきたい。

3 1の答えが「ない」であれば、それでも、保険会社としての責任を果たしていると考えられるのか答えていただきたい。

4 判例による過失計算に頼っておられるようなので、20で示される被害者側の過失としてどのようなものを想定しているのかを述べていただきたい。


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